兼高かおるさんの想い出。

今でこそ花の写真を撮っている私ですが、その前は小説家や政治家。会社経営者、芸能人など人物を撮っていた時期があったのです。数年の間ですが個性の強いいろいろな方々にお目にかかり写させて頂きましたが、その中で忘れられないのが「兼高かおる世界の旅」の兼高かおるさんです。毎週日曜日の番組は欠かさず見ていた私は彼女の大フアンでしたが、昭和60年に兵庫県淡路島に「兼高かおる旅の資料館」が開館するにあたって記念出版をすることになり、その表紙の帯に載せる顔写真の仕事依頼を頂き、昭和60年1月26日にニコンFと50㎜標準レンズにストロボだけを持って東京港区のご自宅へ伺いました。ドアが開いて出て来たのはいつもテレビでみている兼高さん。挨拶が終わってすぐ「あなたはタバコを吸われていないようなので、どうぞお入り下さい」と言われました。彼女のお宅へはタバコを吸う人はもちろん匂いがする人も立ち入り禁止にしているとの事でした。光のたくさん入る素敵な部屋で紅茶とケーキを頂きながら、必要以上にシャッターを押しましたが嫌な顔ひとつしないで、あのエレガントな口調で旅の話しなどを聞かせて頂き楽しい時間を過ごさせて頂きました。この時ほど写真を仕事にしていて良かったと思った事はありませんでした。

今日のニュースで5日にお亡くなりになったのを知り、今から30数年前の彼女のあの日の姿や声が昨日のように浮かんで来ました。

心よりご冥福をお祈りします。

昭和60年刊「兼高かおる旅のアルバム」(講談社)です。
ご自宅で私が撮影した兼高かおるさん。